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紀南抄「施工不良と事後対応」

 人も組織も、順調な時より苦しい時にその本質が表れる。

 和歌山県発注の県道長井古座線「八郎山トンネル」で大規模な施工不良が見つかった問題で、県は8日、原因究明と対策工法を検討する委員会を設置。有識者らが専門的な見地から協議を進める。

 8日午前中、報道にトンネル内部が公開された。私も現地に行ったが、見た目はきれいなトンネルといった感じ。コンクリートの厚さが足りなかったり内部に空洞があったりするようだが、完成してしまえばきっとわからなかっただろう。

 ということは、と勘繰ってしまうのは記者の悪い癖か。現在供用中のトンネルで、ただ問題が発覚していないだけのところがないとどうしていえよう。県は事後対応として事業者への周知を行ったというが、それで十分なのか。他に新宮市立総合体育館のアリーナ天井の断熱材が落ちてきた問題でも、市は事後対応として他の体育施設天井を目視確認したというが、それで十分なのか。

 問題がないのが一番だが、問題がわかったなら、行政には適切な対処をお願いしたい。安全が金や手間で買えるなら安いものである。

【稜】

      紀南紗

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