那智勝浦町と御浜町の民生児童委員協議会の総会で、会長や町長のあいさつに共通している内容があった。それは、時代の変容で家庭や社会の課題は複雑・多様化しており、子どもや高齢者を見守る民生・児童委員の役割もより広範囲かつ重要になっているということだ。
ここでいう時代の変容とは何か。一つは「共同体」の意識が薄まったことで家庭や個人の孤立化が進んだことだろう。それにより内部事情は見えづらくなり、生じる課題も独自性を持ち、複雑・多様化。結果、第三者の見守りが重要で、多岐に渡る対応が求められるようになった。
遠くの人とつながれるインターネットが孤立化を防ぐとも考えられるが、ネットは接する対象を選択的に決めるため、社会を広げた一方で個人を狭めている。現実の感覚を共有できないというつながり方の問題もある。
一方で、グローバル化によって多様性の受容が重要視されてきたことはポジティブな変化だ。これを生かして、個人が社会から切り離された中でも互いに認め、見つめ、支え合っていく、新しい「共存体」の仕組みを創っていけるのではないか。
【稜】