新宮市の今年度の新規事業に、「熊野川小学校屋内運動場改修工事」がある。平成8年度建築の同施設の屋根と外壁の塗装工事を行うもので、予算は4882万7000円。ふと気づいた。平成8年生まれは、私と同い年である。
私は小中高でバスケをしていた。私が育った中・高の体育館は雨漏りをしていて、そこにバケツを置いたり、練習前には下級生が拭きに行ったりと、気を使ったものだった。あの体育館は何歳だったのだろうかなどと思い返す。
27歳は、体育館でいうとそろそろ大規模なメンテナンスが必要な歳なのだなと、新宮市の資料を見ながら変な感慨に浸ってしまった。気が付けば、今活躍しているトップアスリートや芸能人も同い年、年下が多い。海援隊の「思えば遠くへ来たもんだ」の歌詞とビールの味がだんだんと心身に染み渡るようになってきている。その感覚はこれからさらに深まっていくことだろう。
「年季が入る」という表現があるが、建物も愛情を持って使えば人間同様、少しずつ味わいを増していく。同い年の建物のメンテナンスを、妙な親近感とともに見届けたい。
【稜】