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紀南抄「お別れの歌」

 新宮高校の卒業式が1日にあった。取材の集中力がふっと途切れた時、私は気付くと同校の中庭で、最後のホームルームを終え、友との別れを惜しむ卒業生とそれを見守る保護者の談笑のただ中にいた。

 「道に倒れて誰かの名を/呼び続けたことがありますか」−。お別れに関する歌はいくつもあるが、私の中で最初に出てくるのは、こんな鮮烈な一節で始まる中島みゆきの「わかれうた」である。しかし、若人の寂しさと決意にあふれた卒業式の情緒には到底この曲は合わないので、この歌に関する言及はここらでおさめておこう。

 もう一つ、お別れの歌で思い浮かぶのはSUPER BUTTER DOGというバンドの「サヨナラCOLOR」である。サビ前の「僕をだましてもいいけど/自分はもう/だまさないで」の歌詞が好きで、別れという一見ネガティブな出来事をやさしく、前向きに受け止めさせてくれる。

 サビはこう続く。「サヨナラからはじまることが/たくさんあるんだよ/本当のことが見えているなら/その思いを捨てないで」−。卒業式でまぶしい表情を見せてくれた皆さんの、ご多幸とご活躍をお祈り申し上げます。

【稜】

      紀南紗

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