組織は、人の体を模して作られている。すなわち頭があり心臓があり、手があり足がある。また目があり耳があり、鼻があり口がある。
行き過ぎた組織の問題点として、「分業」が進んだ結果、互いに専門分野に関心を持たなくなったり、口を出せなくなるということが考えられる。この課題解決の出発点に、先に述べた組織と人体の関係を置きたい。
分業化が進みすぎた場合、手が頭の考えるべきことを考えても仕方がないので、手は手のやるべきことに集中しようとする。しかし忘れてはいけないのは、手と頭は体でつながっている。手の起こす作用が頭にも影響すれば、その逆もまた同じ。よって、手は頭のようには考えずとも、頭のことは考える必要がある。会社で置き換えるなら、会社全体のことは管理職が考えるが、手である現場の社員がその方向性を考えなければいずれ弊害が出てくる。
一見関係ないように思える出来事が実は思わぬところでつながっており、ある地点でふと表層に現れる。そういったことが組織や社会、あるいは生態系や宇宙で起こり得るのだとしたら、われわれは何を関係ないと傍観していられるだろうか。
【稜】