先日、うれしい出来事があった。少し前にこちらの欄で書かせていただいたショップの店主さんが、「これはうちのことやろ?」と新聞を買いに来てくれたというのだ。勝手に店名を出すのははばかられたので、店の雰囲気と買い物の楽しさを伝えたのだが、こんなに小さい記事にも目を向けてくれる読者がいるんだなあと改めて感謝するとともに、自分の文章に責任を持たなくてはと気が引き締まる思いがした。
約20年前に初めて、紀南抄を書かせてもらった時のこと。当時は記名記事というものがなく、唯一署名するのがこの欄だった。どんなペンネームにしようかと思案したが結局、名前の頭文字を使うことにした。
よっぽどうれしかったのか、当時の新聞を切り抜いて今も一部保管している。たまに読み返してみると、気恥ずかしいような照れくさいような…。懐かしさとともに、一度掲載された文章はずっと残っていくものだと実感する。
今や一介のしがない主婦なので、話題と言えば生活や食べ物など日常のことが中心となってしまうが、少しでも読者に楽しんでもらえるようなコラムになるように努力していきたい。
【織】