新宮市社協による蓬莱地区の懇談会を取材した。そこで住民から出た意見は、すごくリアルなものだった。
例えば、地域の集まりで高齢者の中の若い層の関心を集めたいという話で、「グラウンドゴルフの大会がすごく喜ばれた。しかし若い人たちに来てもらおうと思ったら土日にグラウンドを借りなければいけない。土日は少年野球があり『よけて練習しますよ』とは言ってくれるけど、子どもたちをどかせてまではと気が引ける」とした参加者がいた。これは本当に地域の中で活動している人にしかない目線ではないだろうか。
また町内会の話も印象的だった。人数減少について、会費が集まらないため活動できずやろうとしても一人あたりのお金が高くなるとした人がいた。一方で、若い世代が町内に引っ越して来た時に入会を求めると「メリットはありますか」と聞かれ結局入らなかったという話を披露した人もいた。
地域には、机上では思いも寄らない課題が眠っている。蓬莱や新宮市に限った話ではない。今回耳にしたことは、おそらく今の日本の、あらゆる「地方」と呼ばれる、その最前線で起きていることなのだろうと感じた。
【稜】