先日、新宮市出身の役者・中瀬古健さんによる朗読公演が開かれた。プロの演者の朗読ということで楽しみにしていたが、さすが、豊かな声や表情で物語の世界観をイキイキと表現しており、どっぷりと引き込まれた。
実は朗読は今、人気が高まっているジャンル。その歴史は古く、絵本の読み聞かせなども朗読の部類に入る。最近は、声優などが本の内容を朗読やナレーションで聞かせる「オーディオブック」というものが話題を集めているようだが、日本では「カセットブック」という名前で1980年代から存在していたという。
中学生のころ、毎晩NHKーFMを聞くのを楽しみにしていて、確か音楽番組のあとにラジオドラマが放送されていたと思う。朗読とは少し違うが、登場人物の風貌や情景を思い浮かべながら夢中になって聞いていた。
テレビや映画のように一方的に流れてくる映像を見るのではなく、話し手によって繰り広げられるストーリーを自分の想像の世界で自由に楽しむことができるのが朗読の醍醐味。生の声を聞く機会はあまりないが、近ごろは配信サービスがたくさん展開されているようだ。
【織】