「速くて一人前、やさしくて一流」—。某ドキュメンタリー番組で仕事人の流儀をこう紹介していた。職種によっては「速さ」ばかりが大切にはならないが、仕事が人と関わるものである以上、「やさしさ」は共通して大切なポイントだと思う。
ファミリーマート那智勝浦店が、特殊詐欺未然防止で新宮署から感謝状を受けた。山田守孝署長はこの功績について「お店が顧客にそのように声をかけるのは勇気のいること」とし称讃した。学生時代に通算4年ほど接客業をしていた私も、その意見には賛同である。
お店からしたら15万円の売上(今回防いだ被害金額)はプラスであり、また、顧客に「その購入は問題ありませんか」と声をかけるのは相手の気分を害するというリスクがある。通常の購入だった場合はお店にとって不利益しかないその場面で声をかけたことを考えると、改めてその勇気に感服する。
コンビニ店員として早く会計を済ませ、他の業務に移り、売上に貢献できるのが「一人前」であるとすれば、「この人のために何ができるか」と考え一歩先の行動をとれるのは「一流」なのだろう。やさしい仕事をせねばと、背筋が伸びる。
【稜】