体験を通して、すごく当たり前のことを、改めて本当の意味で理解するということがある。
今年から記者になった私にとって、今回の新宮市長選挙は初めての首長選挙取材となった。告示日の出発式や期日前投票の数字の把握、投開票日の開票所で当選結果を待つ時間、途中の経過発表でドキドキした感覚、結果がわかってから車まで走って、急いで当選陣営への取材に向かった臨場感、当選陣営の喜ぶ雰囲気など、どれもが新鮮だった。特に市選挙管理委員会には、多忙な中取材に応じていただきお世話になった。
その中で、実際自分が「選挙」というものを実感したのは、開票所で結果を待つ時間だった。それまではなんとなく、選挙全体を第三者的に眺めている自分もいたが、その時になって「ああ、これで本当に新宮市の4年間を託される人物が決まるのだ」と理解した。
腑(ふ)に落ちるとはよく言ったものだ。当然の常識なのだが、知識で知っているのと体感でわかっているのとではやはり違う。「選挙とは、有権者一人一人が、誰がふさわしいと思うかを判断し、多数決で決めるものなのだ」。それが、今回私が学んだことだ。
【稜】