例年であればこれから秋祭りのシーズンだが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、神事のみ行うといったところがほとんど。にぎやかな神輿（みこし）や獅子舞などの郷土芸能披露は、感染防止対策の観点から、やむなく中止の判断が下されている。

 

　新宮市の三輪崎郷土芸能保存会は９月の三輪崎八幡神社例大祭に向け、毎年８月２５日に練習開始を告げる「修祓式」を行い、連夜熱気のこもった練習が続く。ほぼ毎年取材で訪れ、会長はじめ会員の皆さんと「今年も頼むで」「頑張って」などと会話を交わすのが楽しみだった。住民らにとっても地区が活気づく祭りは生活の一部で、今年はそれを見られないことに残念がっている。

 

　旧新宮市内の秋を彩る「新宮秋まつり」も今年は中止。実行委員会は、来年は今年の分も含めて盛大に行いたいと、気持ちを切り替えている。熊野速玉大社の例大祭も規模縮小の方向で調整を進めているという。

 

　仕方のないことと分かっていても、夏の花火大会に続き、秋祭りも軒並み中止。「あって当たり前」だったものがなくなるのは、やはり寂しい。早く終息して、来年はすべての催しが再開できることを願う。

 

【Ｆ】