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紀南抄「花火師の心意気示す」

 夏の風物詩で一大イベントの花火大会だが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で本紙エリア内の各大会でも中止の決定が相次いでいる。密を避けるため仕方のないこととはいえ残念だ。来年は今年の分の思いも乗せて盛大に開催されることを願う。
 
 新宮や熊野の花火でおなじみの紀州煙火(有田川町)を訪ね、現状を聞いた。全国に緊急事態宣言が出された4月、早くも中止の判断をする主催者からの電話連絡が続いた。「仕方のないことと思ってもどこか寂しい」。「暇な夏を迎えるのは初めて」と戸惑いを隠せないが、それでも今できることを懸命に行っていた。
 
 夏の3か月ほどの間にほぼ1年分の稼ぎを出す花火業界。苦境に立たされる業者は多いが、新型コロナの早期終息などを願い、日本煙火協会青年部有志の呼び掛けによる全国一斉打ち上げが1日夜、各地で行われた。紀州煙火もこれに賛同し、「みんなが苦しいときではあるが、また花火を見たいと思ってもらえれば」と花火師の心意気を示した。打ち上げ終了後、会長は「100点満点ではないが、90点ぐらい」と講評。早くも来年を見据えているように感じた。 
 
   【F】

      紀南紗

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