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社説「医療の広域連携 議論を前に」

 前回の社説で、少子化の影響による学校再編が当地方各地で進んでいることについて触れたが、高齢化や人口減少が今後も加速する現状を踏まえると、各方面からかねて声が上がる医療現場の再編や広域連携について議論を前に進める必要があるのではないか。

 当地方(串本町~熊野市)には公立の総合病院が、新宮市立医療センター、那智勝浦町立温泉病院、串本町立くしもと病院、紀宝町・御浜町・熊野市の3市町運営の紀南病院がある。県を越えての連携のハードルは高く、くしもと病院については、令和7年春に串本町まで高速道路が延伸予定のため、田辺市内の病院との連携が視野にあると見られる。こうした事情を踏まえれば、市立医療センターと町立温泉病院の連携が現実的か。
 
 公立病院は、地域の基幹的な公的医療機関として、地域医療の確保のため重要な役割を果たしているが、医師・看護師の不足、人口減少や少子高齢化の急速な進展に伴う医療需要の変化、医療の高度化といった経営環境の急激な変化等を背景とする厳しい環境が続いている。先月開かれた紀南病院議会定例会では、コロナ禍中は国の補助金で黒字決算が続いたが、補助金が激減する今年度は大幅な赤字が見込まれることが報告された。紀南病院だけでなく、ほかの病院でも同様の流れだろう。また、令和6年度からは医師の働き方改革が導入されるため、医師確保には今まで以上に苦労することが予想される。
 
 新宮市の田岡実千年市長は、医療分野での広域連携の必要性について、新宮・東牟婁の各市町村の首長で共通認識を持っていると明かす。特に医療センター産婦人科の休止問題があって以降、その意識が高まっているという。医療センターと温泉病院への医師派遣はともに和歌山県立医大からが中心で、今後の安定的な派遣を考えると一つの組織の方が受けやすい。ただし、現場のトップ(院長)の考えもあり、田岡市長は、再編を政治的な主導で急ぐのではなく、必要な議論を尽くすべきと慎重な姿勢を見せる。「総合病院がまちからなくなる」という住民感情が生まれることも考えられ、丁寧な説明が求められるが、避けて通れない地域の課題として議論を前に進めてもらいたい。
 

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