4月からの新年度予算などを審議する、各市町村の3月議会は大半で終了した。1年間の住民サービスに充てるお金の使い道が決まるため、各議会で慎重審議が行われた。新年度から新たに始まる事業やサービスのほか、新型コロナウイルス感染症の終息がまだ見通せないため、感染予防と経済対策の両面でコロナ関連予算を手厚く計上しているところが多い。コロナ関連については、国や県主導の事業もあり、各市町村は独自の事業とあわせて住民への周知を図ることが求められる。
「徴収に関しては熱心だが、与えることに関しての案内はそれほどでもない」という声がよく聞かれる。税金などの徴収を熱心に行うのは公平性の観点から大切なことだが、一方で補助金や給付金などの受給対象者への案内が十分でないということだろう。コロナで影響を受けた事業者に対する支援でも、自分が対象になるかどうか分からず申請が遅れたという人もいた。
広報紙やホームページなどを使って周知しているのは分かるが、対象となり得る事業所への個別の声掛けがあってもいいのではないか。まちの規模からすれば、対応できる範囲だ。住民目線や寄り添ったサービスを掲げるのであれば、"かゆい所に手が届く"サービスを実践してもらいたい。
普段は議員が住民の代表として行政の監視役、住民とのパイプ役を担っているが、自分たちの住むまちをよくするためには、住民も政治やまちの取り組みに関心を持つことが大切。住民の関心が高まれば、おのずと行政・議会ともに緊張感が生まれ、より良い方向に進むだろう。
指標として分かりやすいのは、首長の公約が進んでいるかどうか。昨年10月の選挙で4選を果たした新宮市の田岡実千年市長は、学校給食費の無償化と常設エコ広場の開設などの公約について、関係予算を新年度で計上し、実施が決まった。今年1月に無投票で5選となった紀宝町の西田健町長も5つの公約実現に向け進めている。4月には那智勝浦町長選が控え、立候補を予定する2氏はそれぞれ公約の浸透を図っているところ。新年度を一つのタイミングに、どのような事業やサービスが行われていくのか、1年間のまちの動きに関心を示してもらいたい。