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社説「飲食店の休業 問題点多い」

 新型コロナウイルス感染症で、新宮保健所管内では7月25日から8月12日までで70人の感染者が確認されている。今回の感染急拡大を受け、新宮市は緊急対策として、お盆の帰省客らで人が増える12~15日の5日間、市内の飲食店等に休業協力のお願いをしたところ、対象店舗の約6割にあたる312店舗が応じた。市当局は、これで感染リスクを減らせると考えているようだが、問題点は多い。

 急きょの対応のため、制度設計で十分な議論や議会への相談ができなかったとしているが、1年半以上続くコロナ禍の対策としてさまざまな想定ができたはず。防災対策で浸水予想のハザードマップを作成するのと同じ。これまで新宮保健所管内での感染者が広がりを見せていなかったことで気が緩んで、準備ができていなかったと言われても仕方のないことだ。
 
 今回、新宮市は「要請」でなく「お願い」ということを強調しているが、5日間の休業で協力金が一律10万円という条件では、お願いに応じたくてもできない事業者が多いことは明らか。さらに、国が推奨するテイクアウトに関して、弁当店など専門業者も含めて対象外としたことにも疑問が残る。三重県は14日~31日の期間で県内の飲食店に営業時間短縮の要請を出したが、協力金は店の規模や売り上げに応じて違う。新宮市のように大も小も同じというのは不公平感が生まれるだけではないか。
 
 ここ数日、幹線道路の国道42号の交通量が増え、流れが悪くなっている。他府県ナンバーが目立ち、昨年同時期に比べると相当多い印象だが、全国的に感染拡大が止まらない中、県を越えての移動に不安を覚える住民も少なくない。
 
 新宮市は今回、協力する飲食店に対し、「人と人の接触を避けるため」と説明したそうだが、開けざるを得ない店舗に人が集中し、感染が広がればどうなるのか。「休むことが正義、開けることが悪」というイメージがつかないか心配する事業者もいることを理解しなければならない。市内の人口が一時的に増えている中、生活に欠かせない食の部分の供給店が減っている状況では、市が今回目指した「非接触」はもろくも崩れる。市内の多くの飲食店はこれまで、感染防止対策を講じて営業しており、長時間の接触を避けるためなら、せめてテイクアウトは対象にすべきだった。
 
 市は今回の反省点を洗い出し、議会で報告するとともに、次回に向けてしっかりと議論する必要がある。
 

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