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社説「住民置き去りになっていないか」

 自治体は住民から集めた税金を使って、まちづくりや住民サービスのためにさまざまな事業を行う。多額の予算が伴う大きな事業は長期計画の中で道筋をたて、災害復旧や今般のコロナ対策のように緊急を要するものはその都度予算計上して対応する。限られた財源の中でやり繰りしなければならないのは言うまでもないが、優先順位を間違うと、住民が置き去りになってしまう。

 新宮市は先日、10月開館予定の「丹鶴ホール」(文化複合施設)で、コンサートや講演会、漫才寄席など、開館を祝うオープニングイヤー事業(前期)の実施概要を発表した。10月から来年2月にかけての催しで、中には人気の歌手やお笑い芸人の公演もある。平時であれば楽しみな催しが目白押しと喜べるところだが、今はコロナ禍という非常時。高齢者へのワクチン接種が始まったといっても、国から各自治体への供給が先々まで見通せない中、希望する全ての住民の接種完了には相当の時間を要し、まだまだ我慢の時間が続くだろう。
 
 プロの文化・芸能に触れる機会を設けるのは市民にとって有意義なことだが、秋から冬にかけても感染が落ち着いていないとなれば、計画した催しの延期や中止という判断に迫られる可能性もある。市民の期待値が大きいほど、開催できない場合の落胆は大きい。市当局には開催できないことも視野に入れた計画を立てることが求められる。
 
 また、延期や中止となれば、出演者へのキャンセル料が発生しないのか気になるところ。無駄な税金投入にならないことを願うが、こうしたリスクを考えると、オープニングイヤー事業は先送りし、まずは文化活動発表の場を待望した市民や、小中高生ら教育現場の活用による静かなスタートというのも選択肢の一つに考えられないか。
 
 丹鶴ホールに関しては、多額の税金が投入された事業で合併特例債も充当されている。一部の市民だけでなく、多くの市民が有効に活用できるよう検討するのも市当局の責務。市民への施設PRの機会として、開館当初に見学・体験ツアーを送迎付きで何度か開催すれば、熊野川や高田など市街地から離れた地区の住民も参加しやすく、今後の施設利用の促進につながる。
 
 各自治体はさまざまな事業を実施するにあたり、議会にも相談しながら、住民のための優先順位を明確にして取り組んでもらいたい。
 

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