新宮市長選まで半年余り。これまでに立候補を正式に表明した人はいないものの、現職市議による立候補を視野に入れた政治活動が年明けから続き、精力的にあいさつまわりを行うなど、水面下ではすでに"戦い"が始まっている。
現職はいまだ態度を表明していない。4選出馬への意欲を語った時期もあったが、昨年12月と3月の市議会一般質問で出馬の可能性を問われた際は、「まだ申し上げられる状況ではない」と明言を避けた。3選を目指した前回は、選挙を約7か月後に控えた3月議会で出馬を表明していた。熟慮しているのか、後援会組織に目立った動きは見られず、今期での勇退に気持ちが傾いているとの見方もできる。
まだ選挙戦の構図が定まっていない中ではあるが、10月の新宮市長選で誰に投票するかを問う電話が市内で発生した。現職市長と、現職市議2人の名前(計3人)を挙げ、意向を確認したという。立候補を念頭においた陣営の「瀬踏み行為」と見られている。
立候補を予定している陣営は表明のタイミングについても策を練っているはず。具体的な名前が出れば、市民の関心も高まりを見せるだろう。最近はどの選挙も期日前投票を利用する有権者が多く、先手必勝の戦略が見受けられるが、事前運動に当たらないよう、政治活動で名前と政策をどこまで市民に浸透させることができるかがポイントになる。
今年の市長選の争点は何になるか。コロナ禍での経済再生・近隣より遅れている防災・中核都市としての医療・教育(子育て支援)・高齢者(福祉)へのサービスなど多岐にわたる。立候補を予定する人には公約を明確に打ち出し、実行してもらえるよう期待したいものだ。
市長選はリーダーを選ぶとともに、市民にとっては自分たちの住むまちの今と将来を考える機会でもある。「住んでよかった」「自慢できる」新宮市にするためにも、市民の投票が不可欠だ。ちなみに、一騎打ちとなった前回の市長選の投票率は68.62%で過去最低。現職が9285票を得て当選。対立候補は7562票だったことを踏まえておいてほしい。