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社説「文化複合施設 進捗を市民に」

 新宮市は、旧丹鶴小学校跡地にホールと図書館機能を兼ね備えた文化複合施設(1棟5階建て)の建設を進めている。旧市民会館が2016年3月に閉館し、文化活動発表の場がなくなって久しい。新施設は来年春に完成、夏ごろ開館を予定しており、ハード・ソフト両面で準備を加速させていく。

 全体事業費約63億円を投入した50年に一度と言われる一大事業。建設費や設計をめぐって市内を二分するような大論争に発展し、予算等を審議する市議会は深夜にまで及んだ末、昨年から工事に取り掛かっている。
 
 そんな文化複合施設の工事が予定より60日程度の遅れが生じていることが分かった。開会中の市議会6月定例会の一般質問で当局側が認めた。昨年の天候不順などがその理由との説明を工事業者から受けていると報告。質問した議員は、遅れに伴う工事費増額の申し出はまだ受けていないことを確認したうえで、「延長なら経費がかかるが、それを誰がもつのか。後からすごい額を請求されたらどうするか。大変なことになる」と増額になった場合の対応に警鐘を鳴らした。
 
 事業費の財源の内訳は、国の補助金約25億円と県補助金約5億円、借り入れをする地方債(合併特例債・過疎対策債)が約23億円(国から7割の交付税措置)、積立基金から約8億円、一般財源で約1億円の支出を予定。新宮市の実質負担は約16億円となると試算している。
 
 国の有利な交付金を充てているものの、新宮市の財政規模から考えると決して安い事業ではない。それだけに市当局は、予定通りに工事が進むよう動向を注視しなければならず、仮に遅れが生じているようであれば、事業者とともにその対応について早急に検討する必要がある。
 
 また、最も大切なのは、工事の進捗(しんちょく)状況を定期的に市民に知らせること。工事の発注者は新宮市だが、当然ながらそのバックには納税者である市民がいる。広報紙などを使って進捗を伝えることで、市民の施設に対する理解は深まり、期待感も高まるだろう。多額の税金を投入し行う事業だからこそ、完成後は一部の市民だけでなく、多くの市民が有効に使えるためにはどうするべきかを今の段階から考えてもらいたい。

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