予算規模は過去最大に
那智勝浦町は3日に記者会見を開き、新年度(2025年度)の当初予算案を発表した。一般会計は、当初予算としては過去最大規模となる109億2800万円を計上。それまで過去最大だった前年度(2024年度)と比べ2億1900万円、2.0%の増。喫緊の課題である防災・減災対策と子ども・子育て支援に重点を置いた編成となった。
増加の主な要因は、25年度で期限を迎える有利な起債「緊急防災・減災事業債」の有効活用のため、さまざまな事業を前倒しで行ったこと。特に消防費は12億8894万1000円で、前年度比5億6639万2000円(78.4%)の増加と最も大きく伸びた。26年4月から新宮市と共同の消防通信指令業務を始めるための機器の更新費や、築地地区の津波避難施設の工事費用など、ハード整備事業が重なっている。
24年度中に工事着手した築地地区の津波避難施設は今年11月に完成を予定している。観光客も自由に上って漁港の景色を楽しめ、1階の一角には足湯も整備するなど、観光的な側面も備える。2階(8.4メートル)~4階(14.8メートル)に400人収容可能。町内7番目の津波避難タワーとなる。
子ども・子育て支援については、小中学校の環境整備のため校舎・体育館の長寿命化改修を進める方針で、新年度は宇久井中の工事費用として2億2820万円を計上した。また、体育文化会館周辺の公園化に向けて、木戸浦グラウンドのフェンス・東屋の設置を予定している。
新規事業としては、災害時の地上通信網の途絶に備えた消防・役場などへの衛星通信機器の導入、役場・出張所などの窓口でのキャッシュレス決済対応など。
その他、新クリーンセンターは今夏完成予定。空き家の実態調査や意向調査のための地域おこし協力隊も募る。主力産業の観光振興では、タクシーやバスなどで混み合う紀伊勝浦駅周辺を交通安全や利便性向上のための整備に着手すべく、設計費用を計上した。
■3月議会は7日から
那智勝浦町議会3月定例会は7日(金)から21日(金)までの15日間を予定している。上程する議案は当初予算11件、条例改正11件、条例制定3件、補正予算6件、財産の取得2件、監査委員の選任1件の計34件。