新宮市と那智勝浦町の消防通信指令業務の共同運用が4月1日(水)、本格的に始まる。内容は「119番通報」の受信、出動指令、情報伝達等の消防指令業務のみで、市消防本部(同市新宮)に設置する指令センターで通報を受け、事案の内容や発生場所を確定し、新宮市や那智勝浦町が管轄する各消防署に事案に応じた隊の出動指令を出す。通報する住民側の手続きに変更はない。
救急出動件数の増加や各自治体の消防力を超える大規模災害の発生など、近年の複雑多様化する消防需要に広域的に対応し、質の高い消防指令業務を行うとともに、経費や人員削減、応援体制の充実を図るため、共同運用は全国的に進んでいる。両市町では2024(令和6)年7月に協議会を立ち上げ準備を進めていた。
新宮消防の過去10年の救急出動を見ると、2019(令和元)年に1472件まで減少傾向だったが、20(同2)年から増加に転じ、23(同5)年は1802件、24(同6)年は1846件と大幅に増加している。一方の那智勝浦消防も過去5年間で増加傾向が続いており、23年度は1096件、24年度は1173件だった。
指令センターに勤務するのは、新宮消防からセンター長含む5人、那智勝浦消防から2人の計7人。日勤のセンター長と、2人ずつの3班編成で業務にあたる。
温井太郎・指令センター長(1日付)は「一緒になったら精度が落ちるということはないので、市民には安心して非常通報をしてほしい。われわれも以前より良くなるように訓練も行っている」と話した。
■ライブ映像も導入
共同運用開始にあわせ、119番通報者のスマートフォンで現場の状況を撮影し共有できるシステム「Live119」の本格運用も始める。これまで音声だけだった119番通報に映像情報を加えることで、言葉では伝えることが難しかった詳細な現場の状況をリアルタイムで確認できる。
利用は主に現場の詳しい位置や状況が把握しづらい時に用いる。利用の際は、消防が送信するショートメッセージ(SMS)から通報者が「Live119」を起動し、撮影することで情報を共有できる。消防側が必要と判断した場合に、通報者の安全が確認でき次第、指令センターが操作方法を説明する。また、応急手当て実施のための映像を指令センターが送ることで、より正確性の高い依頼が可能になる。
新宮消防によると、昨年2月から試験運用を行い、これまでに火災現場の状況や救急要請で傷病者の様子を情報共有したことでスムーズな対応につながったという。
