新宮市千穂の宮戸伸之さん(64)=新宮剣友会会長=が、剣道最高位の称号「範士」を取得した。全日本剣道連盟が6日に京都市で開いた審査会で合格したもので、長年にわたる競技実績や指導力、人格などが高く評価された。
範士は、剣道の称号である「錬士」「教士」「範士」の最上位に位置付けられ、剣道最高段位・八段取得者の中でも、識見や指導力、人格を備えた人物のみに授与される狭き門として知られる。受審資格は「教士八段受有後8年以上を経過した者」とされ、審査では論文や提出資料などを通して人間性や見識も問われる。近年も全国で年間、数人から十数人程度の合格者に限られている。
宮戸さんは新宮市出身で、剣道は小学3年生の時に始めた。新宮商業高校を卒業後、1980(昭和55)年に18歳で警察官を拝命。現役時代は全日本選手権や全国警察官大会などで活躍し、和歌山県警の師範として後進育成にも尽力してきた。
2008(平成20)年に教士八段を取得。八段の中でも全国から選抜された32人のみが出場できる「全日本選抜剣道八段優勝大会」では、2018年に初出場で3位入賞を果たすなど、全国的にも知られる存在となった。
定年退職後の2022年に帰郷。出身道場である熊野速玉大社境内の新宮道場で少年剣士らを指導し、剣道の裾野を広げる活動を続けている。また、市職員として剣道を軸にした地域振興にも携わっている。
海外での指導や交流を通じた普及活動にも力を注いでおり、イタリアやイギリス、スペインなどで剣道や熊野の魅力を発信。海外から訪れる剣士の稽古受け入れも行っている。さらに、八段を目指す全国の剣士らが指導を仰ぐ「宮戸塾」も開催している。
今回の範士取得について宮戸さんは「前向きに努力してきたことが実った。周囲からのプレッシャーもあったので、合格を聞いてほっとした。称号に恥じないよう、おごることなく精進を続けていきたい」と話した。また、「新宮を剣道の聖地にしたい。子どもたちにも努力する大切さを伝えていく思いがさらに強くなった」と地元への思いを語った。
