世界遺産登録日(2004年7月7日)に合わせ、田辺市本宮町の熊野本宮大社で7日、「平和出発(たびだち)の地ホタテ貝モニュメント」の奉納奉告祭と除幕式が行われた。世界遺産の「熊野古道」と姉妹道提携を結ぶ「サンティアゴ巡礼道」(スペイン)を象徴するホタテ貝をモチーフに、世界平和への願いを込めた新たなシンボルで、多くの巡礼者を迎える熊野から平和のメッセージを発信していく。
モニュメントは、高さ約160センチ、幅約80センチ。ホタテ貝部分は縦横約70センチで、ヤタガラスと大斎原の大鳥居をデザインし、「平和出発の地」の文字が刻まれている。合資会社ヤスイペイント工芸所(名古屋市)の青山裕一代表(65)が奉納した。
世界に2つしかない「道」の世界遺産である熊野古道とサンティアゴ巡礼道の両方を踏破した人を登録する「共通巡礼」は2015年から始まり、現在の達成者は世界85か国、約1万7000人に上る。
青山代表は、自身の病気をきっかけに熊野古道を歩くようになり、世界遺産登録20周年に合わせ、共通巡礼達成者に贈ってもらおうと、金色のホタテ貝を制作して同大社に奉納した。
当初2000個を予定していたが、SNSなどで話題となり追加制作するほどの反響を呼び、2024年7月から2025年12月までで約6000個を授与。海外から巡礼ツアーが訪れるきっかけにもなった。金のホタテ貝の授与は終了したが、達成者の心に残る記念になるよう願いを込め、今回のモニュメントを奉納した。
奉告祭で九鬼家隆宮司は「熊野の新たな顔になると思う。道を通じて自然や命の大切さを感じ、世界の人々が手を取り合って平和を願い、熊野から旅立っていただきたい」とあいさつ。「モニュメントを見た人が『これは何だろう』と興味を持ち、ホタテ貝の意味や熊野古道とサンティアゴ巡礼道のつながりを知るきっかけになれば」と期待を寄せた。モニュメントは移動式で、当面の間は社務所周辺に設置するという。
青山代表は「熊野は何度訪れても新しい出会いがある素晴らしい場所。海外だけでなく日本人にももっと熊野古道を歩いてほしい。平和だからこそ巡礼ができる。異なる文化や宗教を受け入れてきた熊野から、世界平和を祈るシンボルになれば」と話していた。
