紀宝町鵜殿の中心地を通る県道紀宝川瀬線。元々は国道42号だったが、紀宝バイパスの全線開通に伴い、国管理から三重県管理の県道に変更となった。交通量は以前に比べて少なくなったものの、生活道路であるとともに、将来の発生が予想される南海トラフ地震の際には避難道路や物資輸送道路としても重要な役割を果たす道路だ。
幹線道路だったため、道路の傷みは激しく、舗装工事等の道路維持修繕工事がよく行われていたが、沿線住民の中には、県道に“格下げ”になったことで、傷んだ箇所の修復が現在の国道42号よりも後回しになるのではないかと危惧する声がある。例えば、鵜殿の六反田交差点付近にある「波静橋」は、橋と道路の継ぎ目に段差が生じ、運転中のドライバーが衝撃を感じることがあった。
橋の継ぎ目の段差が指摘された箇所(現在は改善)
道路管理者の三重県熊野建設事務所によると、波静橋の段差の件は住民からの連絡やパトロールで把握しており、その都度補修しているという。橋の老朽化も進んでいるが、抜本的な掛け替え工事となると、大きな予算がかかるのは当然ながら、長期間にわたり通行できなくなることもあり、応急措置で対応せざるを得ないのが現状だ。
ただし、同事務所では、管内の県道の中でも旧国道ということもあって重要路線に位置付けており、週に3回はパトロールで道路に異常がないか確認している。
一方で、鵜殿地区では国土交通省の事業で新宮紀宝道路の工事が進んでおり、大型車両の通行が多く、路面の傷む箇所が増えることも予想される。同事務所では、そのことも念頭にパトロールを続け、段差や凹凸を見つけた場合、交通安全の観点とともに防災上の安全も視野に入れ、対応できるものは極力応急措置していくとしている。