東京の三重県のPR拠点、三重テラスの職員や利用者らでつくる「三重テラスみえみかん部」の部員らが15日、尾鷲市天満浦の農園で旬を迎えている甘夏の収穫を楽しんだ。親子連れも含め12人が参加。同所で販売する「シェル・レーヌ尾鷲甘夏」の原料にする無農薬の甘夏を収穫した。
シェル・レーヌ尾鷲甘夏は甘夏の皮を使った商品で、昨年10月から三重テラス限定で販売。1箱5個入り約600箱が1月までに完売する人気商品となった。
今回、三重テラスを利用する首都圏の人に、収穫するという一次産業体験を通じて、原材料調達の過程に関わってもらうとともに、三重県南部の魅力を知り、現地の人との関係づくりにつなげようと取り組んだ。部員のほか、三重テラスの運営会社の伊勢福と、シェル・レーヌを生産しているブランカの従業員らも参加した。
一行は、原料の甘夏を栽培している日下浩辰さんの園地で、日下さんから尾鷲の甘夏のことや、作業上の注意を聞いてから、収穫を行った。
日下さんは「普通は30年ほどで木を植え替えるが、地形の関係で人力で更新するのは大変などの理由で、60年ほどの木になっている。以前は柵がなくシカ害で低い部分の芽が食べられ、実は上の方に成っているので、注意してほしい」などと説明した。
参加者は収穫用の籠とはさみ、高枝切りばさみを持って木の下に移動。基本2人一組になり「どうやって取ろう」などと考えながら実を切り取っていた。普段の仕事から離れた作業で「楽しい」と熱中しながら収穫している人もいた。
都内の自営業、阿部華奈絵さん(28)は「最初はほかの人に言われて部員になった。(甘夏の香りのする園地で)天然のアロマ効果の中、緑や海を見て五感が癒される感じ。現地に来ないとできない体験で、(通常の)観光と違い、暮らしの一部を体験できた」などと話した。
伊勢福の松本徹さんによると、昨年は6月から商品開発したこともあり、甘夏約300個を使い600箱程度の販売になったが、今回は3000個ほどを確保し、4月下旬から通年販売を行う予定という。県の県産品振興課で三重テラス担当の県職員、水野加奈子さんは「尾鷲のお土産として買ってもらえるよう、尾鷲でも販売できればいい」と話していた。
収穫ワーケーション 4月末まで実施中
三重県と尾鷲市は一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会と連携し、4月末まで「甘夏収穫ワーケーション」を行っている。普段の仕事から離れ、甘夏収穫に集中することで、気持ちをリセットしてもらおうという取り組みで、今年は4軒の生産者が受け入れを行う。定員は各日5~10人程度。毎週木曜日午後8時から、Zoomでオンライン説明会を開いている。
問い合わせは市水産農林課(0597-23-8224)。