紀北町はこのほど、本年度から5年間の観光振興の戦略を示した「紀北町観光振興プラン」を策定した。将来像を「世界を惹きつける『奇跡の自然』と『祈りの道』が地域の豊かさを創り出すまち」とし、持続可能で稼げる観光を目指す。
2024年から基礎調査、職員のワークショップを開いて策定作業を進めていた。住民と事業者、行政による「紀北町未来会議(仮称)」を開き、計画の推進と進捗管理を行う。重要項目は「住民の観光に対する満足度」「観光客の満足度」「観光消費単価」の3点。数値目標として、観光客の満足度では大変満足と回答した人を37.5%(2025年)から5年間で5ポイント、宿泊客一人当たりの観光消費単価2万2645円(同)を2万3777円へ引き上げることを盛り込んでいる。

計画推進のため6つの戦略を定めており、「量から質への転換を掲げ、滞在の深まりと消費の向上によって地域が真に潤う『稼ぐ観光』を目指す」「世界遺産や清流を次世代につなぐべく、資源の保護と利活用が循環する持続可能な形を追求」「行政と住民、事業者が一体となり、民間の情熱を原動力に据えたまちづくりを推進する」「訪れる人も住む人も誇りを感じられる、心豊かな観光地を築いていく」としている。
戦略の具体的な内容としては、熊野古道や銚子川などを活用とした高単価かつ少人数ツアーの構築、地域産品や調理体験などを合わせた高付加価値な飲食スタイルの提供などを挙げている。
宿泊型観光へ転換するための夜間や早朝の観光資源の掘り起こしの必要性を述べており、町内観光施設のライトアップや夜の古道歩き、競りの見学、便石山からご来光などの可能性に触れている。「単に自然がある町から、『自然を守る営みが地域の豊かさに直結する先進的なサステナブル・タウン』への進化を図る」「紀北町のブランド価値を世界基準へと引き上げ、安売りせずに価値で選ばれるための重要な経営戦略にほかならない」と述べている。
観光DXとして、モバイル空間統計やキャッシュレス決済、イベントの人数観測やアンケートなどによる科学的根拠に基づいた施策の立案と定期的な見直し、アウトドア志向や環境への配慮などターゲット別のプロモーションの最適化、観光予約や案内プロセスのデジタル化などを図る。「銚子川など特定時期に利用が集中するスポットやイベントなどは、現状のままの体制では、持続可能な取り組みになっておらず、抜本的な改善が必要不可欠」とあり、観光客からの保全協力金などの徴収の検討、住民や子ども向けのエコツアーやワークショップによるシビックプライド(住民の住むまちへの愛着や誇り)、観光で稼ぐ意識やおもてなしの心の醸成などに触れている。
