市議会 異例の〝長期戦〟
新宮市議会総務建設委員会(竹内弥生委員長=7人)が12日、開かれた。市がJR新宮駅前に誘致を検討している高級ホテルに関して議論が紛糾。「説明と情報公開が不十分過ぎる」(大西強委員)などと複数の委員が反発し、午後6時ごろまで質疑が続く異例の事態となった。
誘致計画は田岡実千年前市長肝いりの政策で、市は2029(令和11)年の開業を目標に、昨年12月上旬から応募書類の受け付けを始め、1月中に事業者の選定を行うスケジュールを発表していた。現在、市営駐車・駐輪場に使用している市有地約3000平方メートルを事業者に貸し出す方針を掲げたが、丹鶴、駅前本通り、仲之町の各商店街振興組合が「市民の理解を得て慎重に事業を進めるよう強く求める」とする連名の意見書を提出したことを踏まえ、受付期間を4月1日(水)~同30日(木)に大幅に変更した。
市企画調整課によると、1月27日に組合に対する非公開の説明会を開いた。当局は組合の反応について「大きな反対はなかったが、地元との連携や他の宿泊施設との兼ね合いに関する質問が出た」と紹介した。
委員らは「すでに特定の業者が入札し、事業を進めると話が決まっているのでは」と疑問視。榎本鉄也委員は「建設的な話がしたい。もっと具体的に説明してほしい」と要求し、竹内委員長も「全部、話が完結してしまっている。組合もはっきりと意見が言いづらかったはずだ」と声をそろえた。委員長は「公募を目指していた他の事業者が泣くことになる。それならそれで覚悟を決めるべきだ」と迫った。
上田勝之市長は「本質的な部分がまだ議論不足なので、一定期間スケジュールを延長している。現状を整理し、改めて説明させていただきたい」と理解を求めた。市当局は「土地の売却ではなく賃貸の方が市にとって意見が言いやすいので、賃貸を考えている」と補足した。
防火対策も議論
市はプロポーザルに参加する条件に、建物の高さ制限を設けていない。市が1泊5万円程度と基準を設けた価格帯のホテルは、近隣自治体では南紀白浜マリオットホテル(白浜町)などがあり、同ホテルは11階建て。一定の規模以上で建設された場合、市消防本部が唯一保有する25メートル級のはしご車では高層階の救助作業に対応できかねると明らかにした。中山忠吏委員の質問に答えた。
同規模のはしご車では一般的に6~8階程度の救助が限度とされる。市消防によると、高層ビル等で火災が発生した場合、隊員が階段等を使って進入し、取り残された人を救助したうえで、内部からも火元の消火を試みる。担当者は「はしご車がないから救助できないわけではない。あくまで火元にアプローチして消すのが対応の基本」と理解を求めた。
消防法は5階~14階建ての場合、避難階段を設け、15階以上は耐火構造を施した特殊な設計の「特別避難階段」を設置することを義務付けるなど厳しい基準を設けている。竹田和之消防長は、事業者に同法を順守させ、高層になる場合は複数の避難階段を設ける等の対応を求めるとした。
国内最大のはしご車は54メートル級で、徳島市消防局などが導入している。一方で、竹田消防長は「ホテル計画のため、新たに大型の車両を配備することは現時点で考えていない」と否定した。
市企画調整課の担当者は、本紙の取材に「消防はきちんと対応を考えている。高いから危険、という認識は市にない。東京の高層ビル群が危ないとは言えない」とした。
委員会は休憩を含め8時間近く続く異例の〝長期戦〟となった。委員、市当局から不規則発言が相次ぎ、紛糾したため竹内委員長が両者に注意する一幕もあった。
