地区の伝統を継承していくことが年々難しくなっている。串本町古座で毎年７月に開かれる河内祭。祭りの要をなし、国の重要無形民俗文化財に指定の御舟行事で歌われる御舟謡は長年「河内会」が担っているが、歌い手の数が減り継承が危ぶまれる事態になっていることから、来年の祭りに向け、歌い手を古座地区以外からも募集することになった。来月講座と説明会を初めて開く。好転することを願う。

　新宮市佐野区で続く佐野柱松。今月１６日、新宮港緑地公園で４年ぶりに開催する。祭典を準備・運営するのは若手から中堅、ベテランまでそろう実行委員会で、寄付まわりや松明製作など準備を進めてきた。

 

　明治時代から続いた佐野柱松は昭和３５年を最後に途絶えたが、実行委員会を組織し、平成５年に復活させた。準備に奔走する実行委員の苦労は相当なものだが、それ以上に地元への愛着や誇り、喜びや達成感が大きいように見える。

 

　人口減少や若者の流出など地域を取り巻く課題はあるが、当事者たちの熱い思いがあれば、さまざまな方法でバトンはつながっていくと思う。

 

【Ｆ】