初夏の訪れとともに、今年もホタルのシーズンがやって来た。今の時季は、水辺でゲンジボタルを見ることができる。暗闇の中を無数の光が舞う幻想的な光景は、感動の一言である。
日本人はとにかくホタルを好むようで、古くは奈良時代に書かれた日本書紀に始まり、多くの物語や詩歌の題材にも用いられてきた。身近な生物であったホタルも、環境破壊や水質汚染などで激減。近年は生息地の保全活動や飼育・放流なども行われているが、それでも珍しく貴重な存在であることに違いない。
ホタル前線は、基本的には暖かい地方から北上するが、当地方は全国でもトップクラスの早さなのだそう。これは、サクラの開花が九州より東京の方が早い年があるように、ホタルの発生が一概に気温だけが要因とはいえないという。
なぜなのかというはっきりとした理由は不明だそうで、今後の調査や分析が必要となってくるが、どこよりも早くホタルを見られるというのは何だか誇らしい。昔のように、ホタルがあちこちで見られるような優しい光がともる地域を目指したい。
【織】