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紀南抄「自分の言葉」

 サラリーマンになってから、「うそ」の言葉が多くなった。自分の言葉よりその立場としての言葉を話すようになったからだ。

 自分は「黒」と思っても、会社が「白」ならば「白」である。それがサラリーマンだ。それは決して悪いことではない。立場を守り役割を果すのは社会人として当然。しかし建て前を積み重ねると、自分の言葉がわからなくなる時がある。純粋な考えや感情、本音などの素直な気持ちが埋もれていく。

 例えば、人におごってもらった料理が自分としてはイマイチだったとする。自分の言葉で感想を言うなら「イマイチです」となるが、おごってもらったという立場上、嘘(うそ)でも「おいしいです」と言った方がよい。それが処世術である。

 ただ「イマイチ」と思った自分も大切に切り離さないでおきたいと思う。人は言葉に縛られる。立場上の言葉ばかりを使い続けると、次第にそれを本心と思い込み始める。それが進行すると、発する言葉と「自分の言葉」のかい離が激しくなり、心を病んでしまいかねない。社会人の抑うつを引き起こす要因の一つはここにあるのではないか。

 自分の心は、自分の言葉で守りたい。

【稜】

      紀南紗

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