暑い。夏である。あまりに暑いので、私の涼の取り方をここで羅列したい。
最近最も楽しみなのは、乳酸菌飲料である。うだるような暑さの中で、キンキンに冷えた乳酸菌飲料を喉(のど)へ流し込むのがこの世の最上の贅沢(ぜいたく)ですらあるというのが、梅雨明け以降浮上した私の持論だ。
次に、部屋にガンガンにクーラーをかけることである。クーラーの効いていないトイレに立った時にムワッとした気温と湿気で現実に引き戻されるあの感覚はあまり好きではないが、部屋に戻ってまた幸せを感じられることを思えば、その熱気すら愛おしい。人は不幸を知らずして幸福は感じられないということか。
冷たい水に入るのはまだやれていない。新宮市でも三輪崎海水浴場や高田自然プールなどが開かれる。水に入るのは良い。全身の毛穴が逆立ち、感覚が開く。涼を取るだけでなく、日々の生活でたまった精神の垢(あか)を洗い流し、真新しい自分と出会わせてくれる。
冬になると暖を求め、夏になると涼を欲する。なんともわがままなものだが、本能が環境に適応しようとする以上逆らう道理はない。新たな涼を求めるもまた旅である。
【稜】