先日の本紙社説欄で、コロナ禍の新たな避難の形として「車中避難」について取り上げた。本紙エリアの自治体の避難所を見ると、台風の接近等で避難する人は限られた人数で、しかも一時的なため、コロナ禍の感染予防対策で避難所の定員を少なくしていてもこれまでに人数が超過して対応に苦慮したというケースは見られない。

 

　しかし、予想される南海トラフ地震の場合、自宅が倒壊したり、津波で流されたりして、中長期の避難生活を余儀なくされる人は多いだろう。自治体が指定する避難所、あるいは分散避難で利用を促している宿泊施設だけで対応しきれるのか。

 

　発災直後に車で避難できるかどうかという課題はあるものの、避難の中長期化を考えた場合、やはり車中避難は選択肢の一つとして考えておくべきで、行政は事前準備として車中避難のための用地確保、そして周知に努めてもらいたい。

 

　パニック状態で避難所を訪れる人、やっとの思いで避難所にたどりついた高齢者らに対し、定員いっぱいだからほかに移動するよう理解を求めるのは難しい。ある程度の避難者数の想定をしておくことも事前防災として必要ではないか。　

 

【Ｆ】