各自治体で、成人式があった。これからの時代を担う若者が一人前の大人として社会的に認められ、気持ちを新たにする儀式。新宮市でもみんな晴れ着に負けず、晴れやかな表情をしていた。成人となるための儀式は、日本に限らず世界各国にあるようだ。
バンジーの起源となった南太平洋の島国・バヌアツの儀式は30メートル近く高い木の矢倉の上から、足に木のツルを巻きつけて飛び落ちる。エチオピアのバンナ族は、体に牛の糞を塗り、10頭ほど並べた牛の背中を飛び越え4往復するという。また、アフリカのマサイ族はライオン狩りでライオンに勝つことで一人前と認められる。そのほかにも割礼(かつれい)と呼ばれる痛々しい儀式が残っているところもある。
日本の場合はそのような試練はなく、実際的な話をすれば、成人式を終えたからと言ってその前後で飛躍的に何かが変わるわけではない。むしろ社会に出れば一人前の大人として未熟であることに気づくかもしれない。それでも、式を行うことでその一歩を踏み出す心構えができることもあるだろう。その清々しい表情がそう思わせてくれた。新成人の新たな門出を祝う。
【稜】