決勝戦の智弁対決で沸いた今年の夏の甲子園。昨年はコロナ禍で中止となり、2年ぶりの開催となったが、大会前半は雨により過去最多の7度の順延があり、中盤以降は緊急事態宣言の発出により各校関係者の入場にも制限がかかった。それでも選手たちは甲子園で野球ができることに感謝し、懸命のプレーを見せていた。その姿には大いに感動した。
優勝した智弁和歌山の主将は、太地町出身の宮坂厚希選手。4試合で打率5割と大活躍し、チームの優勝に貢献した。プレー以外でも話題となった出来事があった。優勝が決まった瞬間、これまでであれば、選手らはマウンドに駆け寄り歓喜の輪を作り喜びを爆発させるという光景があった。ところが、智弁和歌山の選手は駆け寄ることなく、いつも通りにホームベース付近に整列して一礼、智弁学園の選手らと健闘をたたえ合った。
「礼に始まり礼に終わる」。宮坂選手はそのように説明していた。相手を尊敬する気持ち、コロナ禍での開催に感謝の気持ちなどを考え、選手たちで話し合って決めたという。学校教育の一環である部活動。新たな在り方として一石を投じたことに間違いない。
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