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社説「安全な避難路確保を」

 22日未明に日向灘で発生した地震。震度5強を観測した大分市では住宅のブロック塀が倒壊する被害があった。

 地震によるブロック塀の倒壊で記憶に新しいのが2018年6月18日に発生した大阪府北部地震。当時、小学4年生の女児が犠牲になり、全国的に緊急点検が行われ、当地方でも学校や公共施設のブロック塀の撤去が進んだが、一般住宅はどれだけ進んだか。

 1978年の宮城県沖地震で多数の被害が発生し、81年に建築基準法が改正され、ブロック塀の耐震基準も引き上げられたが、改修はなかなか進まず、95年の阪神・淡路大震災、2005年の福岡西方沖地震、16年の熊本地震と、大地震のたびに犠牲者が出ている。

 ブロック塀が倒壊すると、下敷きになって死傷する恐れがあるほか、津波から逃れるための避難路や救助活動のための通路をふさいで被害が拡大する恐れがある。昼間なら倒れたブロックを避けて逃げることもできるだろうが、夜間の停電を考えると不安はぬぐえない。

 所有するブロック塀の倒壊で人や物に被害が出た場合、その責任は所有者に課せられるが、多くの自治体では危険なブロック塀の撤去に補助金がある。金額や要件は異なるが、上限金額を設定し、その範囲内で経費の2分の1程度が補助されるが、その制度を持たない自治体もある。

 長野県下条村は、比較的簡単な土木作業を行う場合、村が材料費などを支給して住民が作業を受け持つ。さまざまな事情があるのだろうが、仮に財政面が問題なら除去したブロックの処理費に限って補助をし、住民の共助で撤去作業を進めることを考えられないか。

 「危険なブロック塀に近づくな」は当然だし、避難ルートをいくつか考えておくことも重要だが、一刻を争う時には一つでも多く安全な避難ルートがあることが望ましい。

 避難の妨げになるブロック塀が全くないならまだしも、そうでなければ何らかの対策は必要。高まる発生確率。さまざまな手立てで少しでも安心できる地域づくりを期待したい。

      社説

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