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社説「市民直結施策 重点を」

 建設が進む丹鶴ホール(文化複合施設)の建設費が増額になるとして、新宮市は5856万4000円の補正予算案を市議会に提案した。労務単価上昇と新型コロナウイルス拡大防止対策費用などが理由と説明。建設をめぐり議会が深夜まで行われた時、追加予算はしないと発言していたと記憶するが、市民に対してしっかりと説明責任を果たすことが大事。今年秋の開館が決まっており、これ以上の工期の遅れは避けなければならず、必要経費であるならば仕方ないが、その代わりとして市民に直結したサービスにも重点を置くべきではないだろうか。箱物は記録として残るが、記憶に残る市民サービスも大切に考えるべき。

 市民に直結したサービスの一つが、昨年10月に熊野川町で導入したデマンドタクシー(乗合タクシー)事業。行政局を拠点に区域内(町内)を片道100円均一で運行するもので、今年1月末までの4か月で延べ732人が利用した。熊野川診療所への通院利用が全体の4割を超えているという。利用は当初の予想を上回るもので、市は高田地区での導入に向けてもスピード感を持って進めていくとするが、市内全域での導入には民間事業者との関係などクリアしなければならない問題が多いとして、慎重な姿勢を崩さない。
 
 デマンドタクシーに関しては、近隣では熊野市が先進的な取り組みを行っており、各地から視察が集まるほどだ。運行区域は市内ほぼ全域(4エリア)で、平成25年10月の導入から徐々にエリアを拡大した。令和元年の利用実績は年間2万120人。年間予算は運行委託料など約2500万円。那智勝浦町や紀宝町などはデマンドタクシーではなく、決まったルートを運行する町営バスだが、利用しやすいルートや時間帯で運行し、利用者は多い。
 
 高齢化が進む当地域で、住民の移動手段となる公共交通整備は今後、行政が担うべき課題とも言える。外出できる環境をつくることで介護予防や医療費抑制にもつながるため、先を見据えた取り組みが求められる。丹鶴ホールには立派な図書館もできる。建設費を増額するなら、市民誰もが利用できるよう移動手段を整えるためにも予算を投じるべきだ。
 

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