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「宝印」厳粛に授ける 熊野本宮大社で八咫烏神事

 田辺市本宮町の熊野本宮大社で7日、和歌山県無形民俗文化財に指定される国家攘災(じょうさい=災いを払いのける)と国民除疫を祈る特殊神事「八咫烏(やたがらす)神事」があった。熊野牛王神符(ごおうしんぷ)を浄火と若水で払い清め、神前に献じたあとに押し初めを行う祭典で、「宝印神事」とも称されている。この日は約300人が参列し、拝殿で神事を見届けたあと、神職から宝印を授かった。

 1300年前から続く伝統神事。今年は牛から得られる生薬「牛黄(ごおう)」の奉納を滋賀県の自営業の男性から受け、牛王神符に調製した。九鬼家隆宮司によると、明治以降は初めてで、江戸時代初期から約400年ぶりではないかという。
 
 神事は午後5時から拝殿で行い、修祓、祝詞奏上のあと、水と松明(たいまつ)の火で熊野牛王神符を清めた。清めのあとは拝殿の明かりを消し、暗い中で神職が神門前に飾られた門松でできた宝印を手に「えーい」という力のこもった声を上げ、柱に3度、宝印を力強く押捺(おうなつ)した。
 
 九鬼宮司はあいさつで、今年への期待を込めた一文字揮ごうで「笑」を書いたことを紹介しながら、「自然災害や感染病が多い中、無病息災で無事に過ごしてほしい。苦しいときほど笑顔が大事。今年一年間、平穏無事で、いろいろな局面がそれぞれあると思うが、これを乗り切り、笑顔を絶やさず、笑いのある素晴らしい一年であってほしい。今年は午(うま)年。みなさんうまく、順調にいくこと祈念した」と述べた。
 
 続いて、この神事のみで受けられる「白玉牛王」(奉書紙)の授与があり、拝殿いっぱいに詰めかけた参列者各自が手のひらに白紙の奉書紙を重ね、神職が気合を込めて一人一人に特別の宝印を授けていった。
 
 福岡県北九州市から訪れた内村実雄さん(78)は「一年の無事を祈り、30年来毎年参列している。今年も無事に宝印をいただきうれしい」と話し、田辺市内の佐多圭一郎さん(50)は「宝印を受けて清々しい気持ち。笑顔いっぱいになる一年にしたい」と早速満面の笑みを見せた。
 

      本宮町

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