尾鷲市朝日町のNTT尾鷲ビルで16日、避難訓練が行われ、近くの住民や市婦人の会連合会の会員、市社会福祉協議会の職員ら約30人が、高さ約25メートルの屋上まで、外階段を上って避難した。
南海トラフ巨大地震に備え、緊急避難場所になっている同ビルについて知ってもらおうと市防災危機管理課が近隣住民らに呼び掛けた。同所での避難訓練は数年ぶりという。
同ビルは海抜5.3メートルのところにある6階建ての建物。平成25年1月にNTT西日本三重支店と市が災害協定を結び、緊急避難場所として使えることになっている。約250人が避難可能。階段は駐車場脇にあり、土・日曜日、祝日、夜間は門を開けて入る必要がある。
この日は、同支店の松永達明総務担当課長、建物を管理するテルウェル西日本の佐藤仁彦さん、徳田英樹さんが同席。佐藤さんが門の開け方について、かんぬきのロックは震度5弱以上の地震で外れるので、手で開放レバーを引き下げてかんぬきを横にずらせばよいと説明。電池切れなどでロックが自動で外れない場合、「横の箱を開けて赤い輪っかを引っ張って」と話した。
参加者は外階段を使って屋上へ移動。「段が急なので大変」とか「夜はもっと怖いと思う」などと話していた。佐藤さんによると発災時は電灯が消えている可能性が大きく「懐中電灯を持ってきて」と呼び掛けていた。また、毛布や食べ物の備蓄などはなく、津波が引くまで移動することはできない。逃げられる人は中村山方面に逃げた方がいいとも指摘があった。
近くに住んでいる女性は「屋上に上がったのは初めて。夜や、お年寄りだともっと上がるのは大変と感じた。近くにこのような場所があるのは心強い」と話していた。
同支店の松永課長は「階段はきついが、きっちり上っていただき、地域の方の防災意識の高さをうかがえた。会社が少しでも地域の防災に協力できていることを誇りに思う。会社が市と定期的に訓練を行うなど、連携が取れていることも喜ばしい」と語った。
市の担当者は「昨年8月には臨時情報の発表があり、先日も日向灘で地震があった。防災に関心が高まっており、思った以上の人に参加してもらった」と話していた。