能登半島地震を教訓に
尾鷲署と尾鷲海上保安部は17日、大規模災害時の海からの救援を想定した合同訓練を行った。各8人が参加し、連携のあり方を確認した。
元日の能登半島地震では、道路が崩壊により寸断され孤立する集落が発生。海から地域へ入って救助する必要が生じた。南海トラフで大規模地震が発生した場合、東紀州地域でも同様の事態が懸念されることから訓練を実施した。
警察官4人が、組み立て式の担架、チェーンソー、簡易レッカーなどを巡視艇「みえかぜ」に積んで出航。一度沖に出て約30分してから岸壁に戻った。
着岸すると、警察官らは声を掛け合いながら積み込んだ救助資材を降ろし、その後、がれき撤去を想定して直径約20センチの丸太をチェーンソーで切ったり、車の中から要救助者を助け出し、担架でみえかぜに運んだり、簡易レッカーで車を動かすなどの訓練に取り組んだ。海保職員も、けが人や孤立した人を誘導、乗船させ、搬送する流れを演習した。
両機関によると、尾鷲市の総合防災訓練などで連携して訓練を行うことはあるが、両機関のみの合同訓練は近年は行っていない。また、尾鷲署によると平成16年の紀北地区の豪雨災害時は、署員が引本港まで巡視艇で移動したという。
伊藤誠司署長は「東紀州でも国道42号、311号、紀勢道が使えなくなり、陸路からの応援派遣、救助が遅くなる可能性がある。海と陸で連携することが、救助や復旧を円滑に進めることにつながる。訓練を行ったことで、顔の見える関係づくり、お互いの役割分担の確認などができた。今回感じたことを次の訓練に生かし、住民のためにいち早く動けるようにしていくことが大切」と訓示した。取材に対し「2回目、3回目と実施していき、よりよい活動ができるように練度を上げていきたい」と語り、将来的には漁協などとも一緒に訓練が行えればよいとの認識を示した。
早川昌利尾鷲海保部長は、これまでの災害でも全国の海保で海から人員や支援物資を運んでいる実績があると話し、「関係機関と連携を深め、全体で対応していきたい。今日の訓練もだが、訓練前の連絡など顔の見える体制づくりにつながった。今後も続けていきたい」と語った。