還暦を迎えた知人が、「同級生で集まると、最近は年金の話しばかり」と苦笑いしていた。居酒屋や寿司屋で飲むこともあれば、誰かの家の空き部屋に集まって宅飲みをすることもあるらしい。やっていることだけ見れば、学生時代の延長のようでもある。
ただ、当時と違うのは会話の中身。「何歳から支給するのが得か」「働きながらだとどうなる」など、話題はすっかり老後設計だという。
食べ物の変化も年齢を感じさせる。若いころなら奪い合うように食べていた唐揚げや天ぷらも、「もうええよ」「食べや」と互いに譲り合う。酒の量も自然と減り、体の不調や健康診断の数値、血圧の話で盛り上がるという。
それでも、昔からの気の置けない仲間と顔を合わせ、学生時代のあだ名で呼び合い、他愛もない話をして笑う時間の価値は変わらない。年齢を重ねれば話題は変わっても、仲間との距離感は昔のままなのだろう。
今は、知人の話を聞いておもしろがって笑っているが、私たち世代も何年か後には、同じように年金や健康診断の話題で盛り上がっているのかもしれない。
【織】
