三重県が発表した南海トラフ地震の被害想定によると、理論上最大規模の地震が、冬の深夜に発生し、早期避難の意識が低い場合、尾鷲市で4割、紀北町で7割が亡くなるという。
南海トラフの地震は周期的に発生し、先人は乗り越えてきたはずだが、人口減少期における発生は有史以来初かもしれない。過疎化で衰退するまちの致命傷になりかねず、一人でも多く助かるまちづくりを進めなければならない。
海辺の集落で防災の取材で、お年寄りが「津波が来たらあきらめる。若い人たちの迷惑になりたくない」と語っていたことを思い返す。迅速な避難が難しい人もいて、慣れ親しんだ家や土地から離れたくない心もよく分かる。メモをとりながら、帰りの車中でも、どう説得すべきか考えたものの、答えは出なかった。
いまだにスマートな答えは持ち合わせていない。ただ、小さいまちだからこそ、ご近所さんや顔見知りがいなくなれば悲しく辛い。誰も彼も、1分でも1秒でもあきらめずに生き抜くことが、地域の未来につながるはずだ。
(R)
