三重紀北消防組合は23日、紀北町船津の紀北広域連合介護保険センターで第2回定例会を開き、火災予防条例や職員の給与に関する条例の一部改正、令和7年度一般会計補正予算(第2号)、消防本部及び尾鷲消防署用地の財産取得など5議案をいずれも原案通り可決し、閉会した。南靖久議員(尾鷲市)と平野隆久議員(紀北町)が一般質問を行った。
給与に関する条例は、人事院勧告に準拠して職員の給与等を引き上げるもので、補正予算はそれに対応したもの。歳入歳出に4774万6000円を追加し、総額をそれぞれ14億3031万5000円とした。財源は両市町の分担金で、内訳は尾鷲市が2287万円、紀北町が2487万6000円。
財産の取得は、尾鷲市矢浜4丁目の尾鷲市水道事業所の所有地1万2681.43平方メートルを8980万円で購入する内容で、いずれも全会一致で可決された。
一般質問では南議員が組織の名称変更と南輪内出張所の移転について質問。三重紀北消防組合という名称に関して平成の大合併で紀北町が誕生したことで、構成自治体の片方の名称だけが入る形となっており、尾鷲市議会から選ばれている一人として違和感があると述べて「尾鷲紀北消防組合」への変更を求めた。南議員は「構成市町の連携強化につながる」とメリットを説いた半面、変更にはさまざまな手続きと予算も必要で、紀北町にとっては負担になるとの課題も示した。
加藤千速管理者(尾鷲市長)は、三重紀北の「紀北」は紀北町のことではなく紀北地域のことであると説明。切り替えには約2000万円の費用と膨大な事務量がかかると述べ、慎重な姿勢を示した。
輪内出張所の移転については南議員が「組合の施設の中で最も海抜が低い」と述べ、速やかに対応すべきと迫った。加藤管理者は「平成30年から検討している」と答弁。移転候補地として考えられる場所は、津波浸水エリアか土砂災害警戒区域に入っていると説明し、「まずは本部の移転を進める。今後も引き続き(出張所の)移転候補地選定を進める」と理解を求めた。
平野議員は管外への救急搬送と、分担金の負担割合について質問した。
救急搬送について加藤管理者は、2次救急病院の尾鷲総合病院に搬送するのが基本との認識を示した上で、尾鷲総合病院で診療・処置できない場合は、3次救急病院に搬送すると説明。久保虎男参事は、管外搬送する事例について、脳疾患、心臓疾患、重傷外傷を挙げた。
かかりつけ医が管外病院である場合の対応については、患者本人や家族の意向も考慮されるとも説明。受け入れ可能かどうか、救急隊員が当該病院に確認して搬送していると語った。
両市町で負担すべき分担金については、両市町の基準財政需要額をもとに算出しているが、平野議員は「紀北町は合併後、基準財政需要額が上乗せされている」と述べ、現行の負担割合の決め方が不平等になっているとして改善を要請した。
加藤管理者は「上乗せ分があるのは事実」と答弁し、「そ上に乗せて協議すべきと思う」と述べる一方、「いろいろな要素を取り上げて考える必要がある」と語り、慎重に議論したいとの考えを示した。
平野議員は「公平公正な負担割合にすべき」と訴えた。
