大分市の佐賀関で18日、民家など約170棟が焼ける大きな火災があった。木造家屋が密集している場所で、風が強い日だったこと、道が狭く消防力が十分に発揮できなかったことなど悪条件が重なった。大きな火の粉が多数舞い、次々と類焼した。1.4キロ離れた島にも延焼したという。死者が出たのは痛ましいことだが、「ご近所力」が発揮され、多くの人の命が助かった。
振り返れば1月から3月にかけて、国内外で大きな山火事のニュースが相次いだ。県内でも2月に南伊勢町で、約2万平方メートルを焼く事案が、3月には伊賀市で約8000平方メートルを焼く事案が起こっている。
住宅火災は寒くなって暖房を使う時期に増えるという。総務省消防庁によると、建物火災は6月と9月が比較的少なく11月になると増える。月別発生件数が2000件を超えているのは1月、3月、12月で、12月が最も多い。
出火原因は、「コンロ」が最多で2番目がたばこ、3位が電気機器で、4位がストーブとなっている。
ニュースを見ていると、不適切な利用による出火が多い印象がある。例えば、石油ストーブでは火を消さずに燃料を継ぎ足すとか、ストーブの上で洗濯物を乾かすなど。新潟市消防局の実験がネットに上がっているが、乾いたバスタオルをストーブにかぶせた時、5分程度で炎が上がる様子が分かる。
尾鷲市や紀北町でも古い木造家屋が多く、空き家があったり、道が狭かったりと、佐賀関地区との共通点もみられる。熊野市大泊町から紀北町にかけての海岸沿いでは、海と山の間の狭い場所に住宅が密集して建っていて、火災発生時の避難路確保も課題と言える。
自分の母親は外出時、2度3度とガスの元栓を確認していた。火事が起きると近所にも多大な迷惑を与えてしまう。火災予防は「まず我が家から」という意識を持ってもらいたい。
