新人同士の一騎打ちで大激戦だった新宮市長選に続き、こちらも少数激戦が予想された御浜町議選は、告示直前に事前審査を済ませていた新人1人が出馬を取りやめる意向を明かし、一転、前回に続く無投票で10人の当選が決まった。
有権者にとって最も身近な選挙といえる議員選。現職であれば、自身の4年間の議員活動が住民にどの程度評価されているのか、それを推し量るのが選挙で、いわば"通信簿"である。御浜町議選で今回当選したベテラン議員の一人は「町民の審判を受けて新たな気持ちで政治に参加するという意味からも、毎回選挙があるべきだと思う」と胸中を明かす。候補者数が多い議員選では、選挙期間中は各候補の街宣車が行き交い、まさに選挙ムード一色となる。普段は政治にそれほど関心のない住民も、候補者の訴えを聞いたり、公約を見聞きしたりすることで否が応でも気になり、その多くは投票行動に移す。自分たちの住むまちを考える機会にもなる。
また、御浜町は近隣市町や三重県内の同規模自治体と比べて定数が多いわけではないが、2回連続無投票の結果を見れば、議員のなり手不足が顕著と言わざるを得ない。要因の一つには政治への無関心があるのでは。議員は住民と行政とのパイプ役を担うことが仕事の一つ。地域に顔を出して住民の意見を聞き、それを1年に4回ある定例会の一般質問などを通して訴え、課題解決や要望実現につなげていくことが大切になる。今回当選した10人には、住民との距離感を意識した顔の見える活動をお願いしたい。
来年1月には紀宝町長選が控える。旧鵜殿村長から合併後の紀宝町政を20年間担ってきた西田健町長が今期での引退を表明。これまでに立候補を正式に表明した人はいないものの、1人が立候補への準備を進めている。前回2022年の町長選は8年ぶりの無投票だった。今回は選挙戦になるのか、動向を注視していく。
「選挙は未来の選択」。先日、和歌山県立新翔高校であった出前講座で県職員が生徒たちに伝えた言葉。投票権が18歳に引き下げられて以降、低迷する若者層の投票率向上につなげようと、このような出前講座は和歌山、三重両県の高校で行われ、実際の投票箱を用いて模擬投票を行うなど、生徒も貴重な一票の重みを肌で感じている。せっかくの学びを生かし、政治への関心を高めるためにも選挙はあった方が望ましい。
