今月6日は中秋だった。前週末から曇りがちの天気予報が続いていて、名月を拝むことはできないかも、と思っていたら、日中から夜の初めごろにはきれいに晴れて、尾鷲の空に満月が輝いた。
満月にちなんで、ラジオ番組で月が話題になっていた。紹介されていた一つが「天(あめ)の海に雲の波立ち月の船 星の林に漕ぎ隠る見ゆ」。柿本人麻呂の歌集にあったものが万葉集に採られたという。人麻呂の作かは不明らしい。
「月の船」というからには、三日月から上弦の月の間か、下弦の月から旧暦27日ごろの月だろう。月があまり明るいと、周りの星が見えなくなるので「星の林に」と合わせて考えると、細い月だろうと推察する。夕方に沈んでいく上弦の月か、夜遅く上ってくる下弦の月かを考えるのも興味深い。
十五夜の翌月、13日の月は「芋名月」と呼ばれる。見逃してしまった人は、「のちの月」とも呼ばれる旧暦10月13日の月を眺めてはどうか。もとより、満月に限らずいろいろな表情を見せるのが月の面白さでもある。
(M)
