花火が見たい。この地域に来てまだ日が浅い。来た当初から新型コロナウイルスの影響下で花火大会などは軒並み中止。この地域の花火大会はそこらのものとはわけが違うという話だから、なんとしても見たい。新宮市などでたまにサプライズ花火が上がっているが、これにも一度も巡り会えていない。
不要不急のものというのは、実は必要だと思う。本当に無駄を省き不要不急に徹するとすれば、生命活動そのものを疑わねばならなくなる。中学校の技術の授業で、「究極のエコは人間が活動をやめること」だという先生がいた。少々過激だが本質は突いている。
花火も「不要不急」と言われてしまうかもしれないが、「豊かに生きる」ということを構成する要素にはなる。人によってはそれがスポーツだったり、読書だったりするのかもしれない。
花火の魅力は打ち上がる前の期待感と緊張感、光が広がりはじけた時の高揚感、散り際の儚(はかな)さ、鳴り止まない時の充実感、光より一瞬遅れて胸に届く爆発音、終わった後の静寂など、列挙すればきりがない。まさに諸行無常。コロナ終息の折には、そのありがたみを痛いほど感じるのだろう。
【稜】