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社説「10年の節目 防災への意識も」

 未曾有の被害となった東日本大震災、そして当地方を襲った紀伊半島大水害から今年で10年の節目を迎える。今月13日には、東北地方で最大震度6強の地震が発生。東日本大震災の余震という。15日には和歌山県北部で地震があり、和歌山市で最大震度4を観測。この前後で同地域を震源とする地震が続き不安を感じた人もいるだろう。和歌山地方気象台によると、南海トラフ地震との関連性について、「今回の一連の地震は陸側の浅いところで発生しており、直接の関連性はないと考えている」としている。

 昨年から、新型コロナウイルス感染症に対する意識が社会全体で高まっている。先日発表された和歌山、三重の両県の新年度予算では、感染防止対策と経済対策のコロナ関係に重点を置いた予算編成。当地方の自治体の予算でもさまざまなコロナ対策が盛り込まれるのは当然だろう。
 
 一方で、防災関係への予算もしっかりと配分してもらいたい。コロナ禍での避難所運営は昨年からの課題となり、3密を避けるためのテント購入などを済ませた自治体もあるが、実践訓練を重ねておくことも大切になる。コロナ前までは毎週のようにどこかの自治会や自主防災組織で訓練や学習会が開かれていたが、現在はほとんど見られないため、行政の訓練に、自治会等の代表者らにも参加を求め、意識を再度高めてもらうことも必要か。
 
 また、防災ラジオ等の活用も有効。いまだ導入していない新宮市は、近隣自治体の導入事例を参考に、優先して高齢者世帯から導入し、無料配布を検討していくべきでは。
 
 自然災害は避けて通ることはできないが、過去の教訓は生かすことができるため、ソフト面の充実は欠かせない。10年前を振り返り、避難場所・方法・タイミングなどあらゆることを想定し、家族間で話し合っておく。高齢者の一人暮らしや障害者など、いわゆる災害弱者に対しての支援については、隣近所で情報共有する中で対応に努めてほしい。有事の際、まずは自助・共助になる。南海トラフ地震など大規模な災害になるほど公助は難しいと考えておかなければならない。
 
 新型コロナへの感染防止対策が長く続き、誰もが自粛疲れになっているが、災害への備えもまったなしであることを忘れず、できる対策から始める。家庭内で非常品持ち出し袋を用意し、備蓄品も確認する。一人一人の意識を高めることが被害を最小限に食い止める最善策になる。
 

      2月26日の記事

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