コロナ禍で迎えた2回目の夏。本来であれば、8月中は各地で花火大会が続き、人々は夜のひとときを楽しむはずだった。そして9月に入れば秋祭りのシーズンが訪れ、神輿(みこし)を担ぐ「ワッショイ、ワッショイ」という威勢の良い掛け声がまちに響き、地元住民の気持ちを熱くさせるはずだった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、2年連続で中止や規模縮小での実施となるのは寂しい限りだ。
無理に開催してクラスター(感染者集団)でも発生すれば大変なことなので、主催者としては慎重な判断にならざるを得ない。「苦渋の決断、断腸の思い」というような言葉がよく聞かれる。さらに「来年こそ」の切実な思いも。
秋祭りで見れば、各地区の伝統芸能を披露する場でもある。近年、多くの地区で課題として見られたのが、これの継承。取材していると、ベテランから若い世代へのバトンをつないでいく難しさを語る人が意外に多い。コロナ禍による“ブランク”もそうした課題解決を一層難しくする。新しい生活様式の一つであるオンラインを使って伝統継承だけでも進めることができないものか。
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