スタジオジブリの宮崎駿監督がこのほど、アメリカの雑誌「タイム」が発表する「世界で最も影響力がある１００人」に選ばれ、「アニメ界の歴史の中で最も影響力のあるアニメーション監督」と評価された。

　宮崎監督の談話の中で、「子どもがトトロの大ファンで、何回も見ています」というファンレターを受け取り、本当はトトロをかじりつくように見るよりも実際の森に行ってほしいのだと複雑に思ったことを「僕の抱えている矛盾です」と語っていたのがおかしかった。日本の自然や牧歌的な風景を見て「ジブリみたい」とふと思う時があるが、それはある意味でジブリ作品という美しい人工物のフィルターを通して自然を見るという、現実の希薄化でもあるのかもしれない。しかし同時に、宮崎映画があるからこそ共有できる感動もある。

　当地方では、神倉小学校に宮崎監督からの手紙が飾られている。社員旅行でゴトビキ岩を見に来た際に、同校の木造の講堂の見事さに思わず訪問したという。そういうローカルな体験の一つ一つが人間を作り、世界に影響を与えるのだと、胸が高鳴る。

【稜】