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町内の安寧を祈る 渡御前社で例大祭 新宮市

満開の桜に雨滴る中
 
 初代・神武天皇の命日とされる3日、新宮市新宮の渡御前社(わたりごぜんしゃ=通称・御渡神社)で例大祭があった。満開の桜に雨が滴る中、熊野速玉大社の佐藤仁迪(ひとふみ)権禰宜(ごんねぎ)が神事を営み、地域の参拝者が手を合わせた。
 
 同神社は、神武天皇が日本統治のため旅路で大阪の豪族に敗れた後にこの地に立ち寄ったことから神武天皇を祭っており、命日に例大祭を行っている。明治期には熊野速玉大社境内の新宮神社に合祀(ごうし)されたが、地域住民の働きかけにより昭和46年に同地で再建された。普段は同保存会はじめ地域住民が管理しており、毎年桜の開花時期には市民の憩いの場として定着している。
 
 お祓いの後、佐藤権禰宜が祝詞を奏上し、玉串拝礼。続いて参列者全員が玉串拝礼で、それぞれ祈願した。例年は餅まきを行うが、この日は雨のため帰りがけにお餅を手渡しで参拝者に配った。
 
 佐藤権禰宜は「今後もお参りしていただいて、連綿と神事を続けていただきたい」と話した。
 
 保存会の田花操会長は元日の能登半島地震を受けて「災害がいつ身近に起こるかわからない」として、町内の安寧を祈ったという。「今、町内で神社を持っているところは少ない。ここも世界遺産の中にある。地域の人がこの価値を見出して世話してくれるのがありがたい」と語った。

      新宮市

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