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加工業者の動向や藻場再生 尾鷲テーマの研究発表 よるしゃべ

 三重大学東紀州サテライトセミナー「よるしゃべ」がこのほど、尾鷲市の天満会館で開かれ、いずれも大学院生物資源学研究科博士前期課程2年の野沢響さんが「尾鷲地区における水産加工原料の仕入れ構造の特徴」、瀬戸さくらさんが「魚が食べつくした尾鷲のアラメ藻場」をテーマに、研究成果を発表した。
 
 三重大学は県内各地に地域拠点(サテライト)を設けており、東紀州地域は、天満荘に産業振興学舎が、木本高校の旧学生寮に教育学舎がある。
 
 野沢さんの研究は、市内の水産加工会社が、どこから原材料の魚を仕入れ、どのようなルートで販売しているかを全12事業者への聞き取り調査などを通じて分析したもの。野沢さんは、研究の背景について、日本全体で漁獲量全体が減少し、加工向けの主要魚種も同様に沿岸で獲れなくなっており、農林水産省の調査では水産加工業者の約7割が原材料確保を困難と感じていることを説明。
 
 尾鷲でも、サンマが水揚げされなくなったほか、カツオ、アジ、イワシ、サバ、イカなどの割合が減っており、一方でブリの割合が高くなっていると変化を紹介。12業者を「干物加工中心」「その他加工中心」「6次産業化タイプ」に分類し分析した。
 
 尾鷲魚市場を主な仕入先にしているのは2事業者で、海外に仕入先がある事業者もある。また、自社で養殖、定置網などをして原料を確保している事業者があることも紹介。また、6次産業化については「尾鷲地域では昔は見られなかった新しい経営形態」と話した。
 
 仲買い業者が20年間で半分以下になっているのに対し、加工業者は18から12と踏みとどまっており、野沢さんは、需要の多様化に応じた経営の多角化、経営規模別に仕入れ・販売の工夫があり結果としてすみ分けができていることで「加工業者の多くが生き残ることができたのでは」とまとめた。
 
ブダイ駆除できないか
 
 瀬戸さんは昆布の仲間のアラメの藻場が無くなっている要因と改善策を考察した。「アラメと言っているが、サガラメである」と説明した上で発表した。
 
 藻場がまだ残っている鳥羽市の菅島の南側との比較で、水中カメラで定期的に撮影し、写った魚を分析し、海藻を食べるアイゴとブダイを抽出。尾鷲では菅島周辺に比べて水温が高い時期が多く、アイゴやブダイが不活性となる17・5度を下回る期間が短いこと、菅島周辺ではあまり見られないブダイが秋から春に見られることを紹介。「夏から秋のアイゴ、冬から春のブダイが藻場衰退の要因の一つ」と結論付け、水温上昇とブダイの増加で、菅島でも藻場が衰退する可能性があると指摘した。
 
 対策として、アラメの芽が出て成長する冬から春のブダイ駆除を挙げたが、現実問題として困難があると述べた。参加者から、多くの人にブダイ釣りをしてもらう工夫などについて意見が出ていた。

      尾鷲市

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